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06/04/03-23:07

キネマ旬報 2006年3月下旬号 富野由悠季ロングインタビュー 要約版:シャア専用ブログ

■キネマ旬報 2006年3月下旬号 富野由悠季ロングインタビュー 要約版

・10年後、20年後には「Ζガンダム」という作品は一般的に、今回の劇場版を指されるようになる気がします。
・妙で嫌だけど、同時に興味深く思うのは、今回の劇場版「Ζ」は、ここ20〜30年の日本アニメの生成と技術論が一気に
見られてしまう作品でもあるということです。

・「∀」が一方の極としてあるんだから、もう一方の極として「Ζ」を作りきる為には「キングゲイナー」の仕事をやっ
た自分がないと無理だったんです。だから「キングゲイナー」の成り立ちには、「『Ζ』を本気でやるなら、まず『キン
グゲイナー』をやらせろ」という僕の条件がありました。
・カミーユの心性の違いが何なのか、僕にとってのこの20年の推移とシンクロしている部分があるんでしょう。再構成で
もリバイバルでもなくて、位置づけとしては新作だと考えていますから。
・10年前にリメイクのオファーが来た時には、ビジネス的な意味以外に、僕は意味を見いだせなくて頓挫してしまったん
です。新しい心性を手に入れられない限り、絶対に取りかかれないという勘は働いていましたね。

・第3部の中で一番嬉しかった事、驚いた事は、カミーユがヘルメットのバイザーを上げるシーン使えるセリフが組めた事。
同じ局面であっても、受け手の気持ちが違うと、陰から陽に組み直せると知った。
・そのシーンのエマの作画が全部新作にしようと思っていたのに、新作にできなくなってなってしまったのです。下手な
旧画でも、そのまま使わないとこの雰囲気が散逸してしまう。新作で迂闊にキレイにしてしまうと、カミーユのあの表情
が出ないから、旧作のままでしか使えない現実もあって、未だに困っています。

・カミーユとファの二人が抱き合うシーン自体はとっくの昔に出来ていたのですが、ただ、このシーンにいきなり持って
きても、ついでにハッピーエンドにした程度にしかならないので、どうしようかと考えた。サエグサに中継させるのを思
いつくまでは、本当につらかった。戦いという現実から、映画的なハッピーエンドに強引に落とし込んでいくわけだから。
・二人が抱き合うシーンは「キングゲイナー」をやる前から、その狙いがあればいけるなと思っていました。同時に取っ
て付けたハッピーエンドにならないリアリズムが決定的に欲しかったので、その構築には手間がかかりました。その結果
がサエグサの芝居だったのです。

・こういうラストシーンにしたのは、性愛の社会性を意識したからです。世間に認知されたセックス、男女の組み合わせ
を、客観として描くようにしたわけです。ロボットアニメでもそれができるなら、ガンダムファンも大人になってくれる
だろうからと、それを予定して構成させてもらいました。
・(サエグサの芝居の部分は、誰もが知っている下世話さがある、という質問に対して)下世話なこと、下衆なことの集
大成が人類史を作ってきたんだということを、正確に見つめればいいということです。そこから目をそらしてしまうと、
恋愛至上主義とか浮気とかいうような現象の面白さに囚われて、セックスする快感と、その快感の行き着く先にある種を
継続させるための決定的本能。その本能を把握しないまま現象だけ楽しむのはまずいんじゃないか、ということです。

・僕自身が60歳になって、死んでいく立場として、世間や若い人たちに対して望んでいることが少しはあります。それは
若い世代を絶望させてはいけない、絶望を売るなんてことはしてはいけない、絶望は個人の問題にしてほしい、といった
ことです。
・自分探しの自己充足って、勝手に死んでいけよってことでしょう? そうではなくて大人というのは、継承していく存
在、種を残していく存在なのだから、子供に次の時代を受け継がせていきたいものなのです。カミーユの自己崩壊を望ん
でいたファンだって、自分の子供にそういう物語を見せたいのか。それは嫌でしょうってことです。

・映画の媒体って、下衆に理解できる部分がないといけないし、下衆に作っても良い。頭に良い奴だけがわかる作品とい
うのは勘弁していただきたい。ロボットアニメというジャンルでさえ、俗悪を脱して下衆に楽しめるところまで来たこと
を評価していただきたい。
・Gacktは三部作を作る上でスプリングボードになってくれました。第3部では彼の「Love Letter」を使うかどうかかなり
迷いましたし、三枝さんにも新しい曲を作ってもらいました。
・映画という媒体には、芸能性、時代性が必要なんです。芸能って、絶えず新しいものを供給して、ミーハーでさえも食
いつかせる素材がなくてはならないんです。

・「リーンの翼」以降の新作の予定は、まだ何も決まっていません。
・つい最近ふと思ったのは「制作の現状が虫プロ時代の混沌に戻ったんじゃないか」って気がしてるんです。これからの
時代の方法論として、あの時ぐらいの気分で作っていかないと突破できないんじゃないか、という感触です。好きな物、
自分が得意な手法だけやっていてはダメだということです。
・これから何が必要か、僕もまだよくわかっていないんだけど、ハリウッド系のファンタジー大作や「妖怪大戦争」でも
いいですが、あそこには何かが欠落しているように感じるんですよね。もうちょっと根本的に違うところに行く必要があ
るのだと思います。
・「ALWAYS 三丁目の夕日」や「FFZ アドベントチルドレン」等、ああいう映像を作れる技術者集団はいるのだから、あ
の技術を生かして次の映像作品のありようを考えていかなくちゃいけないんです。次の素材、企画論を再考していく必要
がある時代に来ていると思っています。


劇場版Ζまとめ職人さん、ありがとうございます。

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