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06/04/04-14:17

Another Century's Episode 2 PREMIUM INTERVIEW 富野由悠季:シャア専用ブログ

Another Century's Episode 2 Official Web
http://www.ace-game.jp/premium/index.html

■「聖戦士ダンバイン」
巨大ロボットものであれ、メカものであれ、云っちゃえば飽きる程「仕事として」やってきました。尚かつそれ以後も仕事としてやってかなくちゃいけない時に、巨大ロボットものを同じ様に、云ってしまえば「ガンダム」のアレンジ、みたいなものだけでやってくのは、それはあの、少しまともな大人だったら飽きますよね。
自分が飽きるのが嫌だから、飽きない為に、巨大ロボットものというジャンルの中で何をやるかっていう事を考えて、そして、アニメっていうのは元々嘘八百なわけだから、巨大ロボットものってジャンルに、決めごとなんてのは無い訳だから、要するに、ファンタジー的な要素を入れた作り方だってあるだろう。で、それこそ新しいものを作ってくという時に云う事を考えれば、ファンタジーものの世界と融合させるという事はあるんじゃないのか、とか云う事を考えた訳です。そうすると、それは同じ巨大ロボットものという何時も宇宙人が出てくるか、また新しい敵型の組織を作って、固有名詞だけを変えて、何となく巨大ロボットものを作るよりは面白いからという事で、「ダンバイン」の時にはファンタジーものとドッキングさせる仕事をしたって云う、それだけの事です。ですから、仕事を成立させるためにやった。だけどその次に同じ仕事でもいつまでもコピーは嫌だから、と云う事で他の切り口は無いか、っていう事で僕の場合には「ダンバイン」の様なものを作ったっていう事です。

■「重戦機エルガイム」
「ガンダム」でやった、近未来という所での、まぁ多少SFがかってたんだけども、SFというよりも近未来戦とか、かなりリアルなフィーリングの舞台にしてた訳なんで、僕にとってはリアルだったんですよ。現実だったんです。そうするとアニメなんだから、嘘八百の物語なんだから、もっとぶっ飛びたいな、っていう。
所謂本当に数千年先の、つまり未来の物語と云う風にしたら、「エルガイム」みたいなものが作れるのではないのか、っていう風に考えたのが僕の立場なんです。
「スター・ウォーズ」はもう完全に無視してました。むしろ「ガンダム」の時に「スター・ウォーズ」と全くドッキングしちゃって、マズったな、と云うのと、それから、ドッキングしたんじゃなくて競合していって、「スター・ウォーズ」に負けたっていう敗北感がもの凄くあるわけです。
「エルガイム」でやろうと思ったのは「スター・ウォーズ以後」なんです。もっと先。
それで「エルガイム」でやった時に分かったのは、「あ、何だ、ここまでいったらファンタジーなんだよね」って事が分かったって事で。
「エルガイム」の事で僕が曖昧にしか思ってなかった事をこの20年、永野護君が「ファイブスター(物語)」でやってくれてて、「あ、こうなるんだよね」って。それは僕にとっては嫌だな、って事です(笑)。つまり作り手が違う訳だから(笑)。
ファンタジーとして、巨大ロボットものを進化させていったら、「ファイブスター」みたいなものにもなるよね。だけどそれは僕の立場で云うと、それは認めたくはない。僕が思っているエルガイム的な世界ってのはこういう事ではないんだよね、っていうのは当然ある。
ガンダム的には絶対にしたくない。そういうものを作りたいと思った、っていう事なんです。

■「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」
商売でやってるんだよ、って云う云い方が、実を云うと僕にとっては正しいのね。で、つまり商売になる、自分が喰う為にやるしかない、喰う為にやる時に、「逆シャアしかねぇのか」って云われた時には「そりゃしょうがないよね、ダンバイン、ヒットしなかったんだもんね」って云う事なんです。
また、戻らなくちゃいけない、って云う事で云うと、仕事師としてやっぱりちょっと辛い。辛いんだけども本来仕事師だから、商売として成立させようと思うのね。成立させようと思ってる時に、コピーをやってると絶対に成立しない。
僕はやっぱりアイディアマンでなかったからなんでしょうね。「歳をとる主人公か、だったらそれを正面切ってやるしかない」っていう所が、結局エネルギーを使う所であると同時に、アイディアがが無くても、ひょっとしたら人の人生を描くっていう所にだけ割り切って行けば、作れるかもしれない、っていう風に思った事は事実。だけども、「逆シャア」を作ったレベルで云えば、自分自身が今度は、云ってしまえば年寄りにも成りきってない、爪先立って作らなくちゃいけない、って意味でのしんどさってのはもの凄くあったし。
昔の「ガンダム」のイメージがある人たちは周りにかなり居る。その周りに居る人たちに対しても、「えーっ」と思わせない最低限度をクリアーしなくちゃいけないというしんどさ、っていうのは、どうなんだろう。訳が分からないで作る新作よりはやっぱり辛気くさい・面倒くさい仕事である事は事実。だけど、妥協したかどうかは別にしても、またその十何年経っての「逆シャア」の事もこうやって云われてると云う事は、まぁそれなりに59点位でパスしたのかな、っていう事があれば、やっぱりそういう風な事を仕事をさせて貰う事になってないんですよ。つまり自分の好きなものを作ってる訳じゃないんだけども、仕事させて貰う事で何とか生き延びられる事が出来たっていう意味ではやっぱりそのアニメというものとか巨大ロボットものをバカにしないで正面切ってやってきて本当に良かったなと思ってるという事です。

■「ブレンパワード」
TVシリーズものをやるのを本当に忘れてたんで、それの再起戦みたいな部分が凄くあって。何て云うのかなぁ…。簡単に云っちゃうと、思いを出し切れてない、って云う部分が嫌な印象に残ってる。ただ逆に云うと、ああ、これでもう一度、僕にとってはTVアニメの仕事が本道な訳なんで、ああ、もう少し出来るな、という事を思わせてくれた、っていう事があったんで、嬉しかったっていう、そういうプラスの印象もあるんです。
巨大ロボットものと云われてるから、とした作り方、という所に行けない所があって、作品的に弾まなかった、っていう反省がある。だからこれが歳をとっていく事なのかな、っていう自覚症状も手に入れられた事だった。
「ブレンパワード」に関しては本当に作品の事が云いづらくて、むしろ、その反省も具体的に制作中から分かってきたので、その後の仕事をやる事が出来た。
オープニングでブレンパワードのシルエットが動いてるのを久しぶりに見せられて思ったのは、「いや、待てよ」とは思いましたね。どういう事かと云うと、「うん、この造形の持っているメカでもない、かといってそれこそダンバインとか今回『リーンの翼』に出てくるABでもない、やっぱり中間中を行くデザインの持っている訴求力ってのがあるんじゃないか」そう云う意味では永野護君のデザインが持っている、何て云うのかなぁ…。
10年先の何かを掴んでいる様な気がする、っていうデザインの革新性ってのを感じましたね。
シンプルイズベストの持っている造形というのは、むしろこれから大事にして欲しい。ゲームの世界で大活躍させて頂きたいなと思ってるのがあります(満面の笑みで)。

■ゲームに再現された富野作品。
俺だったらこうはやらないよね、っていう事が、半分以上がです、悪口じゃないんです。半分以上が「あ、こうか」っていう新発見になってます。つまり一人の人間の思いこみが持っている映像的な印象というのは実を云うととても単一なものです。
特にゲームの中でのムービー画像が、これだけ進化しれてくれているお陰で、色んなものが見られるという意味では、僕にとってはとても便利なツールになってて、すいません、ゲームになっていません。ツールになっています(笑)。

■富野由悠季とゲーム。
基本的にやりません。
なまじ手を付けると、恐らく生活破綻者になっちゃうので。という気性が良く分かりますので。パソコンに入ってるゲームくらいで我慢してます(笑)。
飽きずにやってますよ(笑)。
やっぱり嫌悪感があります。嫌悪感っていうのが自分もハマるかもしれないという面倒臭さってのがもの凄く想像が付くからです。
ゲームは好きになってはいけない、っていう風に努力しましたね。その努力はそれこそ2、30年なんてものじゃなくて、つまり続いてます。もう中学くらいの時からそれこそ我々の時代くらいだとトランプから始まって、花札みたいな事も、自分がどうハマっていくかが分かったんで。ゲームに近づかない努力をしました。
僕が嫌悪感を持つというのは、ゲームってそういう風に怖いものだから、ゲームの商売する人がだから大っ嫌いなの。
そういう一番、人の弱い所につけ込んで商売するという大人の仕事だから。それは基本的にやっちゃいけない事だ。だから、ゲームってのは僕にとっては博打と同じです。その位凄まじい威力を持っていると承知して。
これは他の並んでるやつとは違うぞ、と思ってくれた子たちが、「あれ、この音声の台詞がちょっと違うぞ」と思ってくれる子たちが、こちらの、つまり作品の方に振り向いてくれた時に、「お前いつまでも中毒でいたらいけないじゃないかバカ」って云ってる作品があるわけですよ。
そういう関係性を社会人であればという事もあるし、大人に成ったらある時子供たちに教える立場にも行かなくちゃいけない、っていう事もやっていられる。それはやっぱりその大人としてとっても大事な事なんじゃないのかとも思えるから。
むしろ人気があるから取り込まれている訳だから、という意味では嬉しい。今度は取り込まれた上で、お前ら楽しませるだけの事じゃなくて、恐らく100万人、1000万人っていうゲーマーが居たら、ちびが居たら、その中の何人かは絶対にこっちに向いてくれる子達が居て、それこそ中毒から脱出してくれる子もいるはずなんです。
正に毒性が強いからなんです。そういうのも入れておく事によって、またゲームから離れてくれる子が居る事も、これも実を云うとゲームという機能の持っている大事な側面として僕は大事にすべきだと思う。
問題は、あとその中に我々がどういう別のものを、つまり滑り込ませといてあげられるのか、という能力の問題になってくる。
ただし一つだけ年齢の問題があって、僕は養老孟司さん程RPGゲームに入れなかった人間なんで、本当はどうなのかな、っていうのがゲームの実態がよく分からないという部分がある。だけれども少なくともゲームの持っている射倖心をそそるという部分だけは、やっぱりそれも利用していかなくちゃいけない、ってのは人間が元々そこに居る訳だから、っていう事があるんで。
だけどお前らこっちもあるぜ、っていう事を教えていけるのが作品を作る、という事であるので。だから、作品は作品としてやらせていただきたい。その上でまた利用していただけるのなら利用していただきたいし、今度は逆に云うと、利用される様な作品にしておきたい。それでいてその作品に絶えず射倖心をそそる部分に関してのアンチが入れられる様な作品を作っていきたい、っていうんだったら、単純に例えば巨大ロボットものを繰り返し作っていくより面白いじゃない。

■「リーンの翼」
今回はネット配信の話は実は3年前から出ていて、それは端から乗りたいと思ってた、っていうのは、ネットはこうなるだろうな、っていう現在の状況ってのは大体想像はついてました。つく様になったってのがあったので、むしろ年寄りにやらせてもらうんだったらそれはありがたいな、というのがあったので抵抗感は無かった。
ネットという媒体の機能とかクセを知る為には、やっぱりやるしかないな、やってみる事によって、という事でもう僕には結論は出てるんだけども、映画館じゃないだろ、っていう気分はそれはあります。だけど、映画というものに想いがもの凄く深い世代なんだけれども、そうではないだろうと思う。というのは、結局もうルーカスプロがもう既に映画館でかけるものでさえ既に衛星から落としている訳だから、ていう様な事を考えた時に、旧来の興行体制というものは、ネットでひょっとしたら破壊されるかもしれないし、破壊されるんだけども興行は無くなるのかと云うと絶対僕は無くならないと思ってるからね。
マーケットって云うのかなぁ。どう動くのかというのは見ていきたいと思ってる。そうなった時に一つだけこの年寄りでも「良いだろ」と云わせる為には、だったら、ロボットものを装ってるんだけどもファンタジーものも装ってるんだけども、本気で行くぞ、っていう様なものを、やっぱり作ってるという事です。
配信の違いによって、TV局経由で出さなくちゃいけない物語でないものが、今間違いなく「リーンの翼」で出来上がりつつあるので、嬉しく思ってるし、その出来上がりつつある、つまり全部作り終わらない限り評価されない訳だから分かんないんだけども。
少なくとも前の「リーンの翼」のノベルスとか、「ダンバイン」とかそういうものから構築してきた、要するに物語、どういう関係性がるんですか?って「ねぇよ!」って云うくらい違う所に行ってます。
物語論として「えっ、ロボットアニメが遂にここまでリアルになったか」っていう所をやってます。だけど1話を見る限りリアルじゃないでしょ?むしろよりファンタジックになっているんだけども、見終わった時になまじの実写なんか目じゃない、っていう確信があります。
あ、ここまで自分もスキルを上げさせてもらいたい。
じゃ何に期待するんだって云ったら、「うーん、アニメが違ったかもしれない」っていうのが分かるかもしれない。本気に作っても良いよお前らっていう、アニメを本気につくっても良いよ、っていうのが分かるかもしれない。
「ガンダム」がある時ロボットものでリアルだと云われている、その「リアル」の言葉が、「リーンの翼」はね、もっとリアルに感じられるかもしれない、っていう作りになってます。

■最近、感じていること。
あのね、アニメファンっていう窓口からだけ見ていれば「お前らしっかりしろよ」という言葉遣いが今でも通用するだろう、という風に思えますが、この2、3年の経験でちょっと違います。間違いなく、つまり、ファーストガンダム世代の人たちでさえも30代半ばまで来ていて、この2、3年、僕自身こういう立場にいるおかげで本当に他のジャンルの方々とお会いする機会が多くなってきてる。つまり30代の半ばでアニメなんかとっくに忘れてる世代の人たちの中に、確実に例えばガンダムファンが居るんですよ。
凄いな、怖いな、ヤバいなと思ったことがあるのはつまり、中高時代は例えばチラッとは見ただろうけれども、その後は、間違えなく一所懸命頑張ってきて、今中堅をやってるというのが、中央官僚から、中央官僚からです、大学の助教授レベルにかなり居るんです(笑いながら両手を広げる)。かなり居るんです。
あ、やっぱりある時ロボットアニメだからって手を抜いて作らなくて良かった、ってそれだけです。その為に今になって、むしろその具体的な支援者が、アニメファンじゃない所に間違えなくサポーターが居る事が分かってきた時に「あ、やっぱりそのTVアニメと云えどもTVまんがと云えども、つまり公共に対して発表する作品、というのを無駄に作っちゃいけないな、という事だけは本当に感じる様になって。それを現場の人には伝えたい。

■旧作と新作の狭間で。
昨日今日から遂にダビング作業に突入しましたので、来週辺りが地獄です(笑)。
もの凄く気持ち悪い時があります。云ってしまえばタイムスリップなんですよ。「Ζ」が結局旧作の復刻だからっていう事があって。新作が平行している時のとっちらかり方と違う、そのねじれ現象があります。瞬間芸の時も、それが瞬間芸の時だったり、2、3日持続する時もある。「Ζ」のどっぷり浸かってて、こちらにヒュッと来た時にうっ…って(頭を下げる)。これは何をやってるんだろうか、っていう事があったり。
だからと云ってじゃあそれが悪いかと云うと、人間がまた凄いなと思うのは、1本だけやってると結局ね、一本調子になるんですよ。その、ブレる、というのは、あって良いんじゃないのかな、と思う。

2006.1.19
サンライズにて

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