06/11/19-23:27
Cut 2006年12月号 富野由悠季インタビュー 激白! ガンダム永遠の謎が遂に明らかに!:シャア専用ブログ
■Cut 2006年12月号 富野由悠季インタビュー 激白! ガンダム永遠の謎が遂に明らかに!
'79年に放映が開始されたTV版『機動戦士ガンダム』(12月22日に初のDVD化)は、もともとロボット玩具を売り出したいおもち
ゃメーカーの意向により企画・制作された作品である。しかしその後のガンダム・シリーズの展開を見ても明らかなように、30
年近くにわたって人気が途絶えることはなかった。監督の富野由悠季は、その理由を「僕に作家的な才能がなかったから」と語
る。「ガンダムが嫌いだ」とまでいう彼の真意は、いったいどこにあるのか。
ガンダム以降、ロクなものが作れない
――『機動戦士ガンダム』は、子供向けという認識が強い当時のアニメの見方に対するカウンターだったんですか。
「カウンターとしていえば、おもちゃ屋の宣伝番組でもこれくらい作れるんだっていうことでやりました。僕は基本的に仕事師
で作家じゃないし、創作物というのは悔しいけれど、その時代の反映なんです。けれどファーストガンダムは、それほど一過性
のものでもない理由がある。小学校の頃から観ていたSF映画というジャンルは、月までロケットが行くだけじゃ作れないという
反発心を入れたんですよ。ロボットものではまず敵味方を設定するけど、敵味方をきれいに分けるとつまらないし、ガンダムま
での宇宙ものの敵は宇宙人だったのを人間にしたら、違うものになると考えた。人間だったら敵と味方が結婚することも当然あ
り得る。コロンブスの卵なんですよ。子供の頃思っていた、この手の映画に対する不満を吐き出したことがポイントですね」
――ガンダムと同時期に生まれた『スター・ウォーズ』のことは、どう観ていましたか。
「ファーストガンダムを作った後で『スター・ウォーズ』を観たんだけど、ルーカスには脱帽した。一番重要なのは、美術に関
係することで、宇宙船の中が汚れていた。人間が24時間住み込んでたら汚れるってことをきちんと描写してたの。『スター・ト
レック』なんてどっこも汚れてないですよ。映画のセットっていうのが見え見えの作りでしょ」
――それってつまりリアリティの問題だと思うんですけど、ガンダムもリアリティの部分に関しては相当注意を払ってますよね。
「まさにそうです。2本足ロボットって、具体的にSFでも使えない嘘八百の素材なわけ。それをどうやって“嘘八百のリアリテ
ィ”に落としていくか考えれば、人間ドラマしかない。どんなモビルスーツやモビルアーマーが出てきても、手前に出てる人間
の動きで話が見られる。ただ困ったのは、当時視聴率が取れなかったので『ロボットアニメにしなきゃ』ってところに辿り着く
前に打ち切りになってしまったこと。でも人間ドラマ的なところだけで終わっちゃったために、その後30年残るものになったか
もしれない。僕は『ガンダムが嫌いだ』『メカが嫌いだ』っていうんだけど、これはレトリックではなくて、そこにまず目がい
ったら視聴者の記憶に残るものはできないだろうという確信。けれど、これはみんな概ねわかってくれませんね(笑)」
――戦争を舞台にしたのは、富野さんのメッセージ性の反映ですか。
「僕にはそうした作家としての才能はないんです。ガンダムのような兵器があるとしたら、戦争で使うしか国家予算がおりない
だろう。だから戦争を舞台にしただけで、戦争を描く気なんてないね。ひとつ気をつけたのは、好戦的になっちゃいけないって
こと。少なくとも右翼の片棒を担ぐことだけはしたくなかった。逆に反戦を謳うことも絶対にしない。反戦なんて当たり前でし
ょ! ガンダムで意識したのは、情け容赦なく人は死ぬ。生き延びるってことは、紙一重のことでしかないよってことだよね。
結局、嘘八百のリアリズムを作るという、当たり前のことが大事だと思うんです」
――その考えは最初から現在までブレがないものですよね。
「そうなんです。逆にいうと、だからこそガンダム以降ロクなものが作れていない。つまりブレてなさすぎるから。作家性って
いうのは、ブレのない芯がありながら、表現の方法をたくさん持つことで、僕にはそれがなくて、職人なんだということを自覚
しています。何度もチャレンジしたわけですよ、ガンダムを超えようと。でも、できないんだもん」
ニュータイプの概念がこの1ヶ月でようやくつかめた
――ガンダムに大きな謎を残した「人類の革新“ニュータイプ”」という考え方は、結局なんだったんですか。
「さっきもいったように、作家じゃないから初めから規定なんてできるわけないので、“ニュータイプ”という言葉だけ放り投
げたわけ。それがこの30年間、自分を縛ったのも事実だけど、この1ヶ月でようやく“ニュータイプ”の概念がつかめた。それ
はすごくつまんないことで申し訳ないんだけど、『総体を見ることができる人』。宇宙があって地球があって、地球のなかに
我々がいてってことを、パッとわかる人。最近のニュースを見ていると、大人たちの反応は自分のいまある立場を安定的に維持
したいという、各論から発想されているでしょ? 総体論で見ていけば、すべての物事が紐解けると思いはじめてるところがあ
るんです」
――へえ。遂に辿り着いたと。
「個別のツラだけ見ててもなにもできない。ツラさえよければそれで済むと思わせる媒体が、アニメであり映画という媒体。映
像媒体っていうのは、どうもそのクセがある。やっぱり総体の作業ではなくて、個人の意志があまりにも作品全部にいきわたっ
ていると、世代を超えて受け入れてもらえない。僕の場合、自己の主張を持っていなかったので、自己主張しないで済んだ。フ
ァーストガンダムには子供の頃からの思いの丈が吐き出されてるけど、僕のあのときの好みだけで作ったものでは決してない。
やっぱり時代が作らせたから。時代性は絶対に背負ってる。僕は社会的な位置関係でいえばガンダムの原作者で、間違いなく監
督もやってるんだけど、ガンダムの作者ではないんですよ。自分が作り込んだというより、作らせていただけたという意識が強
い。そうでないとあと50年残りませんよ。俺、あと50年ガンダムを生き残らせたいから(笑)」
劇場版Ζまとめ職人さん、ありがとうございます。
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