05/11/03-14:40
ガンダムの父 富野由悠季―愛を語る。:シャア専用ブログ
ヤングジャンプ49号より。
もはやアニメ界の一大ジャンルである「GUNDAM」。
その生みの親であるのがアニメ界の巨匠・富野由悠季その人。
その監督がいま、20年の時を経てΖガンダムを「新訳」し、世に問うのはなぜか。
巨匠・富野が愛、そして男の生き様について語る――!
フォウにエマさんにレコアさんやサラ…。過酷な戦争描写の中でも、魅力的な男女の機微が描かれてきたΖガンダム。なんと、今回の劇場版第2弾のタイトルは「恋人たち」という――。
富野 20年前のテレビ版を知ってる方は分かるとおり、「Zガンダムって基本的に暗くて嫌な話だっていう思いがあったんです。もちろん、ロボット物でありながら、当時ああいった話をやったという評価もあるんだけども、今回「新訳」するにあたって「恋人たち」とつけたのは、TV版のような暗い捉え方をしない、という意味でもあるんです。
――Ζガンダムをいえば、強くてきりっとした女性が多くて、子供の頃、エマさんにドキドキしてました。
富野 舞台になっているのが言ってみれば戦闘局面の前線だから。そういうところに出てきて、なおかつ簡単に自滅しない人となると、どうしても強くなっていかざるを得ないということです。
今回は、そういった中でも、フォウみたいに強制的に組み込まれてしまった人間がどうなって行くのかという姿も「恋人たち」のひとつの形として描いています。
――今回の「恋人たち」を見てYJ読者の男子に感じて欲しいことは?
富野 今の若い人たちは、僕みたいな60過ぎた者からすれば、もう少し男女のことに関して、普通に人として付き合うフィーリングを手に入れている世代だと思っていたんです。でも、実際のところ、男女イーブンにはなってなくて、男のほうがだらしなくなっているという感じがします。そういう意味で、まず基本的に男として自信を持つということ、男としてのプライドを懸けるというのがどういうことなのかということを、本当に自覚を持ってみて欲しい、と思います。
――ガンダムといえば、まさに男子が憧れる戦士たちの宝庫です、アムロやカミーユのような「男」に成長していくキャラ、ジェリドやシロッコのような上昇志向の強いキャラ、シャアのように滅びの美学を感じさせる者まで、魅力的な生き様がてんこもり。どうやってそれぞれの生き様を決めたんですか。
富野 これは一人一人キャラクターを想定したら、こうなるんだろうなっていう。たとえばシャアの場合は、結局ファーストガンダムの時がいちばんの華だったから、後に行くにつれ(かつて)華であったことの収支計算を意識しちゃう。そうすると、シャアはやっぱりあんなもんなんだろうなと考えました。
(Ζのあとになる)「逆シャア」をつくったとき考えたのは、政治的な指導者は千年生き残るのか、ということで、それは無理なわけです。シャア自信もそこまで政治的に器量がよいとも思えない。
となればやはり「個人」の話に落としていくしかない。ひとつの人格としてシャアを捉えていった時、「どういうふうになるかな?」って考えていくとああなるしかなかった。
原作者だからどう作ってもいいという考え方に対して、僕は肯定的にはなれないんです。
――そんな簡単に都合よく人は変われないはずだと。
富野 リアリティ追求ってのともちょっと違うんだけど。それよりはロボット物のようなジャンルの作品しか見てない子がもしいたら、その子たちをもう少し外に向けさせるって考えた時に、ウソは書けないなって。
――Ζではカツみたいな普通の少年も出てきて、戦争の現実、人間の現実に傷つきます。
富野 カツ・レツ・キッカのような子供たちは、有象無象の人々、愚衆かもしれない平民の代弁者です。子供が持っている「純粋な願望」の象徴なんです。
本来、その純粋な部分だけをすくいとっていけば、世の中がそんなに悪くなることはないはずなんです。だけど、人間の本当に悲しいところは、年をとっていくほどそういう願いを忘れてしまうということです。そういう構造を示すために、僕は彼らを愚衆の典型として描いています。
――結果的に純粋に「きれいごと」を信じているせいで一般の人たちは戦争に巻き込まれたとき、カツのように人間不信に陥ったり壊れたりします。
富野 だからこそ戦争をするという決定権を持っている人々が、お勉強が出来るだけの中央官僚みたいな人だと困るわけで。ジェリドなどは、自分のことを最後までエリートと信じ続けた官僚タイプでしょう。
シロッコのように洞察力も兼ね備えた天才であっても、平民の立場に自分の足場が降りていない人の政権であったら無惨なことが起きますね。
そういった政治をしていると、(一般民衆とは違う)天才である人たちにとっても、結果的に生活の場を喪失する結果を招くんだ、というところまで物語に現れたらいいなと思うんですけどね。難しいからこそ、本当は、そういう物語を作っていきたいですね。
監督、その物語も期待してます!
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