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06/12/19-23:04

大人のガンダム3 トップインタビュー 2人のキーマンが語るガンダムビジネスの展望:シャア専用ブログ

トップインタビュー 2人のキーマンが語るガンダムビジネスの展望

■チーフガンダムオフィサー/バンダイ社長 上野和典

ふたこぶらくだのごときガンダムのファン層分布

−02年の『ガンダムSEED』以降を振り返っていかがでしたか。
上野 私がガンダムのビジネスを統括するチーフガンダムオフィサーに就いたのは03年のことですが、現状はおかげさまでファンの方に引き続きご支持いただけていると思っています。当時、今後のガンダムの展開について、綿密にスケジュールを組みました。まずガンダムと一言で言っても、その中にはいろいろなガンダムがある。関連商品も含めて、それらをいかに整理するか。それらを総括し、整理して、今後10年間のスケジュールを組みました。
−『ファースト』と『SEED』、2つの系譜を並行して展開する現在の手法も、その時に計画されたのですか。
上野 当時は『SEED』で、新しいファン層が生まれつつあった。そこで、まずそういったファンの方々を大事にしたかった。まだ『DESTINY』も始まっていませんでしたが、ぜひとも続編を投入したいと考えていましたね。それによって『SEED』のファン層をより大きくし、新しいガンダムのジェネレーションにしたかった。当然、ただ拡大すればいいというわけではなく、ファンの方々に対して、我々もきちんとフォローしなくてはならない。現在製作中の『劇場版SEED』も、その1つですね。
−その一方で旧来の『ファースト』ファンも大きな存在です。
上野 もちろんです。『SEED』のファンの中心が中高生なのに対して、『ファースト』ファンは36、37歳ぐらいを頂点にしています。その『ファースト』世代と呼ばれる方々に対する商品並びに映像をリリースする『ファーストガンダム』DVD化もその一環です。
−まさに満を持してとの表現がぴったりですよね。
上野 DVD化していないのは『ファースト』だけでしたからね。昨年の劇場版『Ζガンダム』の3部作もそうでしたが、『ファースト』世代のファンに喜んでいただける仕掛けを用意するのも、我々の重要なミッションです。ガンダムのファン層はいわば、ふたこぶらくだです。『ファースト』と『SEED』、どちらのファンも大切にしないといけない。
−双方のファン層は、年齢だけでなく性別の分布も異なります。
上野 その通りです。『ファースト』ファンは男性、それに対して『SEED』ファンには女性も多い。そういった女性ファンに満足していただける商品開発が、我々にとっての今後の課題でしょう。
−男性が喜ぶ商品が、女性に受け入れられるとは限りませんよね。
上野 現状では女性ファンにご支持いただいているのは、DVDとT.M.Revolutionさんといった主題歌アーティストのCDが中心ですが、それ以外にも受け入れていただける商品を用意する必要はありますね。我々の企業としての特色もあるのですが、女性向けの商品はなかなか難しいですよ。ただ我々は、まだ『SEED』ブームは現在進行形だと認識しています。先ほどの劇場版なら、そこに合わせて新しいモビルスーツの商品を開発することもあるでしょう。そこで何かしらの女性ファン向けの商品を投入できるように、現状から少しづつでも女性市場を拡大していければと思います。

『ファースト』世代に贈る2つの切り札とは−

−『ファースト』世代に向けての、今後の展開はいかがでしょうか。
上野 大きな柱としては、『ファースト』のキャラクターデザインを手がけた安彦良和さんが連載されている『ガンダム THE ORIGIN』があります。あの作品をいかにビジュアル化、立体化するか。『ファースト』世代の基準のような存在ですから。安彦さんが自ら、30分1話のテレビ番組を再構成していますから、バンダイにとっては新しい大きなビジネスに育てていく必要がある。
 そして06年12月から「ガンダムエース」で連載が始まる福井春敏さんの小説『機動戦士ガンダムユニコーン』。こちらも綿密に企画を進めていただいてまして、30代後半のファンの心を確実につかむ作品になるでしょう。
 正確に言うと、『ファースト』を見て、模型屋さんに並んだ熱狂的なファンの方々は、もう42〜43歳くらいなんですよ。今『ファースト』世代と呼ばれる方々は、その人たちの姿をリアルタイムで見て、あこがれていた当時の小学校低学年の子供たち。その方たちに楽しんでもらえる作品作りをする一方で、ガンダムをあまり知らない方にも楽しんでいただけるものを目指す。福井さんはその辺りのさじ加減も把握していらっしゃいますからね。ビジュアルをイメージしてから、丹念に文章を書いていく福井さんのスタイルは、ガンダム向きですよね。
−細かなディテールの描写が持ち味の方ですよね。
上野 その福井さんの作品を、どうやって我々がお手伝いするか。ただ小説を書いていただきました、だけではいけない。福井さんの文章をカトキハジメさんが挿絵としてビジュアル化したり、我々がプラモデル化したりと、プロジェクトとして盛り上げていきたいですね。
−気の早い話ですが、映像化への期待も高まります。
上野 その辺りは、タイミングと最適なメディアを見計らいたい。プロットを教えていただいた限りでは、30分のアニメ番組のスタイルではその魅力を最大限に表現できない気もしています。ただ、もし映像化する際には、最適な環境で送り出したいとは思っています。

新たなファン層の獲得と海外マーケットの展望

−では、今後も『ファースト』と『SEED』双方のファンを中心にして、ガンダムは展開していくのでしょうか。
上野 もう1つ、3つ目の新たなファン層を開拓したいとも考えています。現在のファンを大切にする一方で、時代は絶えず流れていますからね。新しいファン層の獲得も重要な使命であると認識しています。まだ詳しくは申し上げられませんけど、新作のガンダム・・・中高生に向けた新しい作品をサンライズを含めて準備しています。
−メディアとしては、ネットで作品を配信するバンダイチャンネルが好調と聞きます。
上野 06年の夏にバンダイチャンネルで配信した『スターゲイザー』は、ある種の実験でもありました。『SEED』シリーズ初のOVAでしたが、映像作品をネットで配信して、それがビジネスになるのか。テレビを使わないビジネスモデルを検証したかったんです。ただし、先ほどの3つ目のファン層に向けた新作は、従来通りのテレビを中心とした展開となるでしょう。我々としては、テレビを中心にしつつも、常に新たな可能性を見据えていきたいということですね。
−国内マーケットは磐石の構えで、あとは海外市場ですね。
上野 ガンダムファンもいて、要望も大きいことは承知しています。ですが、国内マーケットでのMBSさんとの取り組みのような仕組みが、アメリカではまだ築けていないんです。『パワーレンジャー』で開拓したルートはありますから、そこに乗せることは可能です。しかし、やるからには日本と同規模を目指したい。日本のロボットアニメを咀嚼して自分たちの形に昇華できるような現地のパートナーが必要なのです。彼らが発想して、我々とコラボレーションしながら作れないと、『パワーレンジャー』のようなヒットは望めませんからね。

うえの かずのり 1977年バンダイ入社。トイホビーカンパニープレジデントを経て、04年、チーフガンダムオフィサーに就任。05年から現職。


■サンライズ取締役 宮河恭夫

『ガンダムユニコーン』は30代ファンへのプレゼント

−06年後半から『ファースト』の周辺がにぎやかになってきました。
宮河 4年前に『SEED』をスタートさせてから、『ファースト』の“ユニバーサルセンチュリー”(宇宙世紀)と『SEED』の“コズミック・イラ”という2つの大きなカテゴリーができました。ただ、“ユニバーサルセンチュリー”には長らく新作がなかった。そこで福井春敏さんの『ガンダムユニコーン』で、30代の『ファースト』世代の方に小説という形で、新作に触れていただこうと。ガンダムは、まず映像ありきで始まるものでしたよね。それが今度は小説からのスタートになる。映像のことは全く考えないで、読み応えのあるものをご提供します。30代の方ならば、力のある小説でガンダムに触れたいという欲求がありますよね。しかも映像のノベライズではなく、全く新しいストーリーを文章で読む。そういった『ファースト』世代への新しい提案がようやくできるんじゃないかなと考えているんですよ。
−長い間温めていた企画だそうですね。どういったドラマが描かれるのでしょう?
宮河 企画自体は随分前から進めていまして、ようやく発表できました。宇宙世紀の歴史上での物語ではありますけれど、『ファースト』でも『Ζ』でもなく、全く違う時代を描きます。アムロやシャアが登場しない、ゼロからのスタートとなるドラマです。既存の作品の間を埋めるのではなく、福井さんが創造された新しいガンダムの物語となります。ですから、安彦良和さんがキャラクターを、カトキハジメさんがメカを描きますが、映像化は今のところ考えていません(笑)
−当面は福井さんの小説を中心にして展開するわけですか。
宮河 そうですね。何かほかの展開を考えるとしても、小説をある程度進めてからになるでしょう。福井さんの著作は、長編になるでしょうし。だからたとえ映像化するにしても、映画がいいのか、テレビシリーズがいいのか。まず、そこからしっかり見極めないといけないと思っています。ファンの方々には、まず小説で楽しんでいただければと思います。
−これまでとは異なる方法を用いてまで、『ファースト』世代にアプローチするのはなぜでしょうか。
宮河 僕たちはこれまでにいろいろなガンダムを作ってきましたが、福井さんの作品で目指したいのは、27年前に映像としてガンダムに触れた方々に当時の空気の純粋な延長線上にある作品として、30代になった今、小説としてガンダムの物語を読んでいただくことです。子供のころ、夢中になった映画の続編が、小説で発刊されたら読んでみたいと思いますよね。それと同じですよ。
−世代に合わせたメディアで展開するわけですね。その一方で、安彦さんのコミック『ガンダム THE ORIGIN』も『ファースト』世代にはたまらない作品です。
宮河 そうですね。『ファースト』を下敷きに安彦さんが再構成されるコミックと、福井さんが新たに作る宇宙世紀のガンダム。この2つが30代の方に対してのプレゼントです。

常に新しいものを取り入れてこそのガンダム

−『SEED』ファンに対してはいかがでしょうか。劇場版の制作も発表されていますが?
宮河 『SEED』もたくさんの方が応援してくださっていますから、新作の製作に当たっては、何よりもクオリティーを重視したいという思いがあります。テレビシリーズをそのまま劇場に持っていくようなことはしたくない。僕は『SEED』には、20年後に今の『ファースト』のような存在になってほしいんです。そのためには今の“宇宙世紀”と同じように、ちゃんとしたものを作りたい。20年後に『SEED』のファンが、今の『ファースト』世代と同様に応援してくださっていれば、非常にありがたいことですよね。それを実現するには今、きちんとしたものをファンに提供する必要があります。
−『SEED』は女性ファンを多く獲得した作品でもあります。その方たちが『SEED』をずっと応援してくださるか。そこに不安はありませんか?
宮河 当然あります。『STARGAZER』のような作品を作ってはいますが、“コズミック・イラ”シリーズとしての球数はまだ少ない。まずはそこを何とかしないと。また『スペシャルエディション』の完結編が来年にテレビ放送されます。そういったものも含めて、これから球数を増やしていきたいですね。
−バンダイの上野和典社長から、新しいガンダムも予定されているというお話を伺いました。そちらはいかがでしょうか。
宮河 先日、サンライズの入社試験があったのですが、面接を受けに来た人たちの多くが、『SEED』が好きって言うんです。『SEED』のファンが今、社会人になろうとしている。もちろん、彼らのようなファンは非常に大切な存在です。しかし、だからといって現状維持に努めていくだけでは、ガンダムを何十年も続けていくことはできません。新しいファンを生み出していかないと。そのための新ガンダムですね。宇宙世紀でもコズミック・イラでもない新しいガンダムで、新しいファンを獲得したいと考えています。常に新しいものを取り入れてこそのガンダムですから。
−ガンダムという枠組みの中で、新しいものを生み出すと。
宮河 まずは「ファーストガンダム」があり、その後数々の作品、世界観が生み出され、そして新たに『ガンダムユニコーン』を創造する。ガンダムという素材を使って、新しい人が新しい作品を作るわけです。ガンダムというのは、そういった手法が許される珍しいキャラクターなんですよ。IT業界で言えば、Linuxのような存在。30年前からあるガンダムを、さまざまな人たちがいろいろな形で楽しめる。そのためには古い形に固執するだけでなく、新しいものを次々に取り入れていかないと。絶えず進み続けなくてはなりません。30年間、ガンダムを続けられてきた要因は、そこだったんじゃないかと思いますね。

海外市場に向けて新たなアプローチを模索する。

−そういった視点から見ると、国内だけでなく、海外市場に向けて作られたガンダムも、可能性としては出てきますようね。
宮河 北米市場に関しては難しいでしょうね。アムロやキラのような、戦いを否定する主人公の視点を通して戦争を描くのがガンダム。そういった主人公と戦争の非道さが、反戦というテーマに結びつきます。しかし北米市場では、アムロのような主人公は受け入れられない。“国のために戦います”と自ら身を投じるタイプでないと駄目。かといって北米市場に望まれるガンダムを作ってしまうと、反戦をテーマにしてきた日本のガンダムとは全く異なってしまう。それをガンダムと呼べるかというと言えば、疑問を感じますよ。ですから北米市場では映像よりも、まず作品を知っていただくことから始めたい。例えばゲームでガンダムを知っていただいて、それから映像作品を見るという手法も考えられるでしょう。
−インターネット上での配信については、どうお考えですか。
宮内 国内ではバンダイチャンネルが好調で、月に有料で200万話以上を販売しております。次はあの仕組みを、どうやって北米やヨーロッパに持っていくか。従来のテレビありきの展開とは違うスタイルでアプローチしないとだめでしょう。例えば韓国では『ファースト』は放映していないのに、関連商品の売り上げが伸びている。それは違法であるピアー・トゥー・ピアーで『ファースト』が広まったことが大きいんです。そこで違法のままではなく、オフィシャルとしての仕組みを、その国の文化や物価に合わせて提供したい。ただコピー品が横行している地域で、それを確立するのは非常に難しいんです。でもやらなくてはならないことととらえています。

みやかわ やすお 1981年、バンダイ入社。ガンプラの営業、ゲームのプロデュースを経て、99年よりサンライズ、04年に取締役。『SEED』シリーズのプロデューサー。


2328さん、ありがとうございます。

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