04/11/08-18:41
NT2004年12月号より富野由悠季インタビュー:シャア専用ブログ
http://s03.2log.net/home/char/image/2004110905.jpg
昨日の映画祭で、客席で実際にお客さんが座席を埋めてご覧になるようすを拝見し、
改めて『ああ、フィルムが太ったな』という気分がしました。
皆さんの気持ちが入った事で、"艶出し"ができたと感じまして、とてもありがたく思っています。
とにかく今回のまとめ作業をする中で実感したのは、フィクションといえども
歴史を背負っている人物なら、実在している部分をもっているということです。
その実在感をピックアップして、映画としてまとめていく作業が自覚的にできたことを、うれしく思っています。
たとえばレコア・ロンドというキャラクターを外す構成も考えてみましたが、
つくり手の強権発動をして好き勝手に登場人物を組んだり外したりするのはいけないと思えてきました。
ですから、次のシーンにレコアがいるなら、出ていていいように組む事を考えました。
エマ・シーンにティターンズのことをレコアが説明するシーンをつくり出そうと必死になり、
1か月ぐらいかけてその方法を見つけたときはうれしかったです。
結果、フィルムの流れも良くなりましたし、話の節目全てにそうした新たな仕掛けを入れてありますから、
とても見やすくなっていると思います。
一方、アムロとフラウが出会うシーンは、1カットもTV版の絵を外せませんでした。
短い時間で映画的によく表現できていると気に入ってますので、
その力強さが第1部の映画全体を整えていく上で力になっていると思うからです。
そうなると、作画のよし悪しは関係ありません。
こうした編集ができた後では、過去の自作も単にエピソードを羅列してしまった、
少々だらしないまとめ方と思えてきたほどでした。
それくらい今回は"劇的"にまとめられた自信があります。
この20年間で仕事的に後退しなかったうえに、めいらないようなつくりができたのは、
とても気持ちがよいことでした。
そうした気分は自分に限らず、今回の関係者たちの取り組みと、
何より作品によく出ていると思います。
おそらく皆さんがご記憶になっている『Zガンダム』とは全然違うものが見えてくると思いますが、
何かを変えているかというと、何も変えていません。
そこが完全にツボの部分です。
"陰りがないようにしたい"気分があるから、3本もの映画を突っ走る事ができるわけです。
これは単に見たままの"アムロとシャアとカミーユが出会いました"というお話ではありません。
そこに"まさにここから始まる"というひとつ高揚した気分が入っているからこそ、映画になっているのです。
新作パートの配分も含めて"次に向ける"という映画ならではの快感が焼き付いたフィルムだと思います。
この"映画ならではの快感"は、すべて新作にしてしまうと、逆になかなか作れないものです。
そうするとハナから"これでいいだろう"と思ってしまうような、うかつさが生まれるからです。
今回は、物語をすごく飛躍する事もできる映画の機能を最大限に利用し、煮詰められるだけ煮詰めました。
もともとのドラマ構造、すなわち人間関係が、かなり分厚い話ですから、
凝縮する事でTVシリーズ以上に面白くなっていると断言できます。
"A New Translation"ということばを僕が認めるようになったのは、
きれいにつながっているからという甘い理由からではありません。
主人公カミーユのとらえ方を180度変えるのを決意したという事を意味しているのです。
現象をひとつの目だけで見ていってはいけない、
特にマイナス志向はまずいという事を、まとめなおす中で実感しました。
それを自分で突破していけたことは、貴重な経験でした。
見方を+思考にするというその1点だけで、
世の物事がこれほどに変わって見える可能性を手に入れることができたわけです。
ビジネスだけでアニメを考えている無責任な大人たちに、
"ものをつくるということはこういうことだ"というサンプルを提供できたという確信があります。
フィルムを見るたびに、自分でも入っている物量に驚きます。
映画はそれだけの容量を持った媒体なのですから、
クライマックスだけを段取りで引き延ばすような映画は、くだらないと思います。
"女性の一生"がたった2時間で語れてしまうくらい、映画はすごい媒体だと思っていますから、
死ぬまでやらせていただきたいと思っています。
どう考えてもこれは"マジック"なのですから。
(了)
【劇場版】機動戦士Ζガンダム-星を継ぐ者-62
http://comic5.2ch.net/test/read.cgi/x3/1099457850/ より。
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