05/11/16-23:10
アニメーションRE Vol.2 三枝成彰インタビュー 要約版:シャア専用ブログ
現代に復活する「Ζガンダム」サーガ
富野監督との打ち合わせでは、TV放映から20年経って、時代がずいぶん変わったという話をずいぶんした。左翼の後退、
哲学・思想の壊滅。当時はまだ若い人たちが反抗することに意義を見出していたが、今の人は去勢されていて、暗いも
のが嫌いで、悲惨なものを観たくないという傾向が強い。それを考えて「やっぱり少し変えよう」と富野監督は言って
いた。
「わかりやすい」というのが大きなテーマだった。複雑なものを好まない世代が育ってきた。当時のファンは、カミー
ユの名前がカミーユ・クローデルに由来することなど、名前ひとつにも意味があることにこだわった。それから、複雑
なストーリーに、正義と悪が入れ替わる歴史観・人間観。そういうところが当時支持されたのだろう。人間はいろいろ
矛盾を内在していることを、アニメで描いたのが画期的だった。しかし今の時代にフィットしない。
TVシリーズを振り返って
僕が書いたのは非常に難しい音楽だった。作品に合わせようというよりは、むしろ自分の持っている音楽性、好みのス
タイルでやろうとした。それがたまたま富野監督が気に入って、「ΖΖ」「逆襲のシャア」につながった。
富野監督との出会いは衝撃的だった。まず普通の人が着ないような服を着る。今回もまったく印象が変わらない(笑)。
富野監督は一種の天才であり、挑戦者だと思う。人間の弱さやタブーをアニメで描いた。そういう意味では、革新的な
ものを投げかけた人だ。
富野監督との仕事では「逆襲のシャア」が一番印象深い。音楽的には「逆襲のシャア」が一番よく出来ていると思う。
自分のアニメ音楽の最高峰、集大成だ。ただ、それが一般受けするものかどうかはわからない。
「Ζ」は放映当時よりも終了後の人気に驚いた。幾度もパッケージされ、若い世代のファンが現れ始めた。気がつけば、
僕の作品の中で一番のヒット作になっていた。面白いなぁって思った。
再び「Ζ」の音宇宙へ
「星を継ぐ者」ではTV版の音楽の使用がまず前提にあり、どうしても足りない要素をメニューで抽出して、それをもと
に作曲が行われた。曲数は18曲程度。一方、「恋人たち」では、映像に合わせたフィルムサンプリングが行われた。曲
数も30曲近くに増えた。オーケストラ編成は80人規模。生音だけでなく、打ち込みのシンセも加えた。
音楽的にはTV版とあまり変えていない。昔の音楽も使われているから、まったく違う音楽が共存してしまうと統一感が
なくなってしまう。昔の音楽を使わなかったら、まったく違うものにしたかもしれない。
打ち合わせでは、富野監督は音楽の方向性については、具体的な方向性を示さず、時代の違い、現代という世相の読み
方をずっと2人で話していた。
富野監督は時代に受けることの大切さをわかっていて、時代を見る目がある人。どんなにいいものを作っても、当たら
なければ残らないから。
20年前にお話を頂いた時は、「ガンダム」なんてまったく知らなかった。たくさんの人に自分の音楽を聞いてもらえる
と聞いたから引き受けた(笑)。でも当時は一部でしか人気がなかった。それが20年も支持され続けて、色褪せない。
僕の音楽もそう。当時としては、画期的な、20年間通用するような音楽が書けた。この作品の後、アニメ音楽のクオリ
ティは確実にアップしたと思う。もし機会があれば“Ζ”のつかない、まったく新しい「ガンダム」を書いてみたい。
そのときは、もっと画期的な、次の20年間古びない音楽を書きたいと思う。
劇場版Ζまとめ職人さん、ありがとうございます。
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