06/01/31-23:40
月刊SkyPerfecTV! 2006年2月号「監督、富野由悠季“Ζ”を語る」:シャア専用ブログ
「新訳Ζ」はファンへのお礼です
もし、TVそのままのまとめ方だったら、かつてのファンには、自分の中高生時代の気分をのぞくだけになって好きになれ
なかったでしょうね。カミーユのあの鬱屈する、ビビッドな少年の「気持ちはわかるよね」では、20年という時間とキャ
リアを経たファンには気持ちがいいとは思えません。だから、そんな人が自分の子供に見せてもいいようなものを作って
みせようと思ったんです。
大人になったときに何を解放させるか、何を宝にするか。「自分が覚えているあの作品の匂いはあるけれども、こうやれ
ば気持ち良くなるか」「あの辛かったものもこうできるんじゃないか」というメッセージを込めました。これは、ファン
に対するこちらからのお礼でもあるのです。単にコマーシャルベースに乗ったところでのまとめではなく、プロとしてメ
ッセージを新訳には込めたつもりです。
今回は、ストーリー権まで自分でコントロールしましたので、自分の思い込みを捨ててこの事件の様を、全部……映画と
いう劇に、つまり、劇の組み方でもっとエンターテインメントにして見せるぞと考えました。それはすごい作業量で、新
作の絵コンテを切ってるほうがよほど楽でした。ですが、やってみて下手な新作よりよっぽど気持ちがいい。迂闊に自分
が思い込んで新作をやるよりよほど面白い作り方になったんじゃないのかなと思っています。つまり、劇をまとめるとい
う芸に関して、かなりいろんな実験も勉強もさせてもらったので、僕にとってはえらく得した仕事になっています。
誰も知らないラストシーンとは?
まだちゃんと動いてない段階ですが、第3部を見た30代前半の女性スタッフが「あのラストシーンだけは、なんとしてでも
みんなに見せたい」と言ってくれました。そういう絵がラスト2カット前かな……にあるんです。男は誰も、作画をやって
るアニメーターでさえも気がつかないディティールなんですけどね。男性にお願いしたいのは、そのキモを見抜いて欲し
い、ということですね。
「Ζ」を知らない方には、なぜロボットものの「ガンダム」というタイトルが、こんなに街中にちらちら見えてるんだろ
うかと、気にしていただけたらありがたいですね。「ファーストガンダム」から25年を越えるメッセージ性という部分を、
見返していただけたらありがたい。僕にはそれしか言えません。
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